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バーマーグの夜 西海岸編 3

ロサンゼルスの南、オレンジカウンティーの一角に、人知れず営業している『BAR Maag」。
マスター・おーぎ氏が経営している日本人の隠れ家的BARである。
BGMは、ジャズかブラックミュージック。

店内はダーク調の天然木や大判の石材をうまく組み合わせた、シックなつくりとなっている。
カウンターが10席くらい。
そして、小さなテーブル席が少し置いてあるという、まさに隠れ家というにぴったりの店だ。

この彼の趣味は、以前いたという東南アジアの店でもなんら変わることがなかった。
そして、東南アジアのときには日本人マスターが仕切っているBARというのはほかに無かったことから、かなりの繁盛をみせていたものだ。
しかし、ここロサンゼルスエリアでは、日本人が多数住むトーランスやガーデナーを中心に日本人経営のBARが何店か存在している。
そこに店を出せば、すぐにでも集客は見込めただろうに、もともと群れることや人と比較されて生きることが苦手なおーぎ氏は、たいして流行りもしないだろうオレンジ村の片隅に店を開けたというわけだ。

新しくアシスタントになったしのさんは、とても楽しそうにお客さんと話をしている。
既婚者とはとうてい思えない、しのさんのかわいらしい雰囲気に、マスターもようやく昔からの慣れ親しんだ雰囲気が戻ってきたような感覚を思い出し始めてきたかのようだった。
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